ユーザーとの距離が縮められる反面、トラブルや炎上に繋がり兼ねないSNS運用。
多くの人が関わるSNSアカウントを企業で運用する場合は、企業のイメージを損なわないためにも、「ソーシャルメディアガイドライン」の導入を検討すべきといえるでしょう。
ソーシャルメディアガイドラインにて、企業がSNS運用をするにあたって重要となるルールを決めていきます。
今回は、ソーシャルメディアガイドラインの概要や作成するための目的、策定する際に抑えるべきポイントを解説します。
ソーシャルメディアガイドラインとは
ソーシャルメディアガイドラインとは、「SNS(ソーシャルメディア)を使用するにあたり取り決められたガイドライン」のことをいいます。
近年、SNSの需要も増えたことから、「ソーシャルメディアに関するポリシー」をしっかり理解し、作成することは重要といえるでしょう。
SNS運用にまつわる文書には、次の3種類に分類されます。
社外向けの「ソーシャルメディアポリシー」
社外向けの「コミュニティガイドライン」
それぞれの役割について解説します。
ソーシャルメディアガイドラインとは
「ソーシャルメディアガイドライン」とは、企業で働く社員や従業員を対象に、SNSを利用するにあたってのルールや指針をまとめた文書のことです。
トラブルに発展させないための運用ルールや禁止事項
トラブルが起こった際の対応フローなど
リスクを回避し、未然に防ぐことを目的としています。
ソーシャルメディアポリシーとは
「ソーシャルメディアポリシー」とは、社外に対して、企業としてSNSを利用する際のスタンスや行動についてまとめた文書のことです。
ソーシャルメディアに対する態度や心構え、行動規範など
リスクの未然防止と回避や、企業としても体制を表明することを目的としています。
コミュニティガイドラインとは
「コミュニティガイドライン」とは、SNSを利用するユーザーなどの社外を対象に、SNSを運用するうえでの免責事項や禁止事項についてまとめた文書のことです。
ソーシャルメディアの、免責事項・禁止事項・削除方針・調停など
ユーザーからの動きに対するリスクヘッジを目的としています。
ここから先は、社内向けの「ソーシャルメディアガイドライン」について具体的に解説していきます。
ソーシャルメディアガイドラインの目的
SNSの運用で、ガイドラインを策定する目的は主に次の3つとなります。
トラブルのリスクを最小限にする
投稿の質を保つ
それでは、一つずつ解説していきます。
1. SNSの運用方針やルールを明確にする
「何をするべきか」「何をしないべきか」をはっきり示し、運用方針やルールを明確にします。
企業によっては、部署やサービスごとに異なるSNSアカウントを運用するケースもあります。それに伴い、運用する担当者の数も増えますが、担当者によって運用方針や投稿内容が異なるなど、バラつきが生じることも少なくありません。
場合によっては、企業としての全体のイメージを損なう恐れもあります。
発言を避けるべき情報やテーマ
文章のトーン&マナー
上記のようなルールを設け、企業アカウントを一定に保つよう基準を定めておきましょう。
2. トラブルのリスクを最小限にする
企業とユーザーが直接コミュニケーションを取り、ユーザーとの距離を縮めることができるのはSNSのメリットの一つといえるでしょう。
ひとたびトラブルや炎上を起こしてしまうと、企業イメージの損失や売り上げの機会損失、人材採用などに影響を与え兼ねません。
炎上した際の対応方法
上記のように「やってはいけないこと」「トラブルが起こった際の対応」などを決めておき、SNSに関連したトラブルや炎上を回避する、またはリスクを最小限にします。
3. 投稿の質を保つ
SNSアカウントは、少人数の運用担当者で回すことも珍しくありません。
担当者によって投稿のバラつきが出ないよう、投稿のルールを決めておきましょう。
投稿の間隔を決める
使用する画像や動画のルール
文章のトーン&マナー
投稿の際に必要となる項目についてのルールを決めることで、複数人の担当者で運用しても投稿の質を一定に保たせることが可能となります。
ソーシャルメディアガイドラインを策定するポイント
ソーシャルメディアガイドラインを作成するときは、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
対象範囲を明確にする
現場の声やヒアリングを行い反映させる
他社を参考にしてみる
それでは各項目について解説していきます。
1.作成の目的や基本方針を整理する
まずは、ガイドラインを作成する目的と基本方針を決めるところから始めていきます。
SNSで、どのような振る舞いをするかは、企業の業種や業界によって様々です。
自社のビジネスに最適と考えられる関わり方を明確にし、アカウントを作成する目的やどのように運用するかの基本方針を整理することは重要となります。
同じ業種や業界の競合アカウントをリサーチして、炎上やトラブルに繋がるような、リスクとなり得る振る舞いなどもチェックしておくと良いでしょう。
2.対象範囲を明確にする
次は、ソーシャルガイドラインの対象となる範囲を決めましょう。
企業全体か特定の部署だけなのかなど、策定後に混乱となるのを防ぐためにも、対象範囲を定めることは重要です。
3.現場の声やヒアリングを行い反映させる
対象の範囲を明確にしたら、次はSNS運用を担当するメンバーなど、実際に現場で働く社員や従業員に対してヒアリングを行いましょう。
現状で足りないもの
現在の活用方法
禁止にすると問題があるもの
意見や要望など
運用担当以外に、広報やカスタマーサポートなど、メディア対応やカスタマー対応に必要な部署が関わる場合は、そちらでの対処方法も合わせて策定してください。
管理する立場と現場の立場、両方の意見や要望を擦り合わせ、双方で認識のズレが生じないようブラッシュアップさせていき、納得できる内容をガイドラインに反映するのがおすすめです。
4.他社を参考にしてみる
実際にソーシャルメディアガイドラインを導入している企業も参考にしてみましょう。
自社と同じ業種や業界の企業を参考にするのがおすすめです。
事例:日本コカ・コーラ
今回は、日本コカ・コーラ社のソーシャルメディアガイドラインを紹介します。
日本コカ・コーラ社では、社会やブランドに与える影響を考慮したうえで、導入にあたっての背景や概要、「個人の立場でソーシャルメディアを利用する際の基本方針」「コカ・コーラシステムを代表する立場での基本指針」をわかりやすくまとめています。
その他にも、「行動指針の基本理念」「コミットメント」「社員及び協力会社によるソーシャルメディアの利用」「ソーシャルメディア担当者に対して求めること」など、ソーシャルメディアに関係する人たちの行動規範まで細かく説明されています。
構成も含め、全体的にわかりやすく簡潔にまとめられているため、ぜひ参考にしてみてください。
参考:コカ・コーラシステム ソーシャルメディアの利用に関する行動指針
https://www.cocacola.co.jp/company-information/social-media-guidelines2
まとめ
以上、ソーシャルメディアガイドラインの概要や策定のポイントについて解説しました。
SNSにまつわる文書には、社内向けの「ソーシャルメディアガイドライン」と、社外向けの「ソーシャルメディアポリシー」「コミュニティガイドライン」があります。
ソーシャルメディアガイドラインを作成するうえで大切なことは、まずは目的を明確にし理解することです。
ガイドラインを策定する際のポイントは、自社が属する業種や業界によって異なります。作成するにあたって不安や悩みが出てきたときは、同じ業種や業界の競合を参考にしてみてください。
また、管理側と現場側の意見や要望を擦り合わせ、リスクとなり得ることを正しく理解し備えることは最も重要といえます。
企業のSNSアカウントをうまく活用するためにも、リスク回避や機会損失に備えたガイドラインを取り決め、積極的な運用を行いましょう。