オウンドメディアを立ち上げてはみたものの、想定していたような効果が得られず頭を抱える担当者は多いです。
メディア運営は奥が深いため、競合他社のオウンドメディアを見て「どこをどう改善すれば効果が出るのか」を理解できないことも珍しくありません。
この記事では、オウンドメディアとして成功を収めた企業の事例を8選ご紹介します。参考になる情報が盛りだくさんですので、企業でオウンドメディアを担当している方はぜひご覧ください。
1. ブランディング成功事例
はじめにブランディングを目的にオウンドメディアを運営している企業をご紹介します。
オウンドメディアそのものは企業に対して直接的な利益がありません。しかし、認知度の向上やブランドイメージをアップさせることによって、間接的に企業の利益を上げることに成功した事例です。
1-1. サイボウズ式
グループウェアやチームワーク強化メソッドの開発・販売を行っているサイボウズが運営するオウンドメディア「サイボウズ式」。
「新しい価値を生み出すチームのメディア」というサブテーマを設け、ビジネスを主軸としたコラム記事やインタビュー記事を掲載しています。
PVやコンバージョンの獲得を目指すのではなく、サイボウズ式に訪れる読者と企業の関係性を構築することに集中した結果、サイボウズの認知度アップやブランディングに成功しました。
1-2. THE BAKE MAGAZINE
チーズタルト専門店のBAKEが運営しているオウンドメディア「THE BAKE MAGAZINE」。
明確な商品があるだけにチーズタルトの紹介をしたくなるところですが、BAKEは企業のビジネスモデルや食の第一線で活躍する人物へのインタビューがメインコンテンツに記事を掲載しています。
著名エッセイストが編集長を務めたこともあり、話題性は抜群。食の業界に興味がある読者をターゲットにTHE BAKE MAGAZINEはPVを伸ばし続け、BAKEという企業のブランディングを成功させました。
1-3. WORKSIGHT
文房具やオフィス用品でお馴染みのKOKUYOが運営しているオウンドメディア「WORKSIGHT」。
メディアテーマの「働くしくみと空間をつくるマガジン」に関連したワークプレイスの事例や有識者が描く未来など、オピニオン的な部分も含めてユーザーの役に立つ情報を発信しています。
KOKUYOの代名詞といっても過言ではない文房具やオフィス用品の宣伝は行わず、広告掲載もしない体制が功を奏し、ブランディングに役立っています。
2. 参考にしたい人材採用サイト
続いては、人材採用を目的としたオウンドメディアを運用している企業の紹介です。
求人サイトに掲載する情報だけで自社の強みや特徴を理解してもらうのは難しく、人材不足が解消しないなかで採用強化に取り組んだ企業たち。
一見すると人材採用に関連のないコンテンツもかかわらず、結果を出しているしくみについて見ていきましょう。
2-1. mercan(メルカン)
フリーマーケットアプリで急速に事業を拡大したメルカリが運営しているオウンドメディア「mercan」。
メルカリグループで働く人たちにフォーカスし、活躍している人や社内で起きたことなどをテキスト・音声・動画などさまざまな形式で配信しています。
社内向けのブランディングにも見えますが、メルカリグループ外の人もメルカリについて知ることができ、採用ブランディングの強化につながりました。メルカリの今を知りたい人のためのオウンドメディアです。
2-2. ジモコロ
地域密着型の求人サイトを運営しているアイデムと、面白いWeb記事コンテンツを制作しているバーグハンバーグによる共同オウンドメディア「ジモコロ」。
地方取材をメインに現地の仕事やサービスを体験。地方ならではの場所や人を交えながらレポートし、記事コンテンツ制作をしています。
求人サイトへの訪問者数を増やすためには企業名を検索してもらうことが大切。そう考えたアイデムは、あえて面白いコンテンツを発信することによってほかの求人サイトとの差別化を図りました。
結果としてアイデムの求人サイトへ応募した10%がジモコロ経由と人材採用に大きな功績を残しています。
3.購買促進につなげるECサイト
自社企業の商品を販売しているECサイトで、購買促進を目的としたオウンドメディアの紹介です。
さまざまな商品が世にあふれているなかで、自社企業の商品を選んでもらうためには、商品の魅力を読者(ユーザー)目線で考える必要がありました。
3-1. 北欧、暮らしの道具店
北欧の雑貨や食器を取り扱っているクラシコムのオウンドメディア「北欧、暮らしの道具展」。
商品を販売するECサイトでありながらも商品のレビュー記事やコラム記事など、読みものとして楽しめるコンテンツを配信しています。
北欧の世界観でユーザーを魅了し、TwitterやInstagramなどのSNS集客にも成功。PVや売り上げではなく”刺さるコンテンツづくり”に注目したことが功を奏しました。
4. 潜在顧客の発掘や新規顧客の獲得に成功
オウンドメディアは立ち上げてすぐにコンバージョンを得られるものではありません。UIを改善し、コンテンツを充実させ、データ分析を繰り返すといった地道な活動が求められます。
すぐに効果を得ることが難しいなかでも、潜在顧客の発掘や新規顧客の獲得に成功した実績を残しているオウンドメディアをご紹介します。
4-1. LISKUL
中小企業やベンチャー企業への支援を行っているソウルドアウトのオウンドメディア「LISKUL」。
企業に役立つWebマーケティング全般のノウハウを提供し、サイト評価を積み上げていきました。会員登録なしで閲覧できるオープンな場で誰でも記事が読めるため、企業の担当者という潜在顧客を集めるにはうってつけです。
資料ダウンロードや定期購読でメールアドレスを取得し、潜在顧客の発掘から新規顧客への獲得へ。新規顧客獲得のための営業活動のすべてをカットしたにもかかわらず、オウンドメディアへのお問い合わせ件数は月に150件以上と大きな結果を残しています。
4-2. SINGLE HACK
キャッシュバック賃貸という情報サイトを運営しているキャリアインデックスのオウンドメディア「SINGLE HACK」。
賃貸を探しているユーザー全般ではなく「一人暮らし」にターゲットを絞ってワンルームで快適に暮らすコツやアイデアを紹介しています。
一人暮らしをしているユーザーが記事コンテンツを読んで楽しめるだけでなく、そのままキャッシュバック賃貸への誘導も可能。潜在顧客の発掘と新規顧客の獲得を同時にできる運営体制が整っています。
5. まとめ
オウンドメディア事業に成功している企業をご紹介しました。どのオウンドメディアにも一環していえるのは、徹底的に解剖したペルソナを基にどんな情報をコンテンツとして届けたらいいかを分析していること。
ブランディングや購買促進、顧客の獲得など、オウンドメディアにはさまざまな目的があります。企業によって運営方針も異なるため「この方法で運営すれば絶対に成功する」というやり方は存在しません。
この記事でご紹介した成功事例を参考に、自社で運営しているオウンドメディアの目的やKPIを具体的に設定し、事業を成功させるための糸口にしてみてはいかがでしょうか。
(画像はpixabayより)