ライターや編集者の多くは、「文字起こし」という作業にフラストレーションを感じた経験はありませんか?
一般的に文字起こしにかかる時間は、1時間のインタビューで2~3時間程度の作業時間を要すると言われています。
ライターや編集者は、このかなり手間のかかる作業の後に、読者が読みやすいように推敲したりして、原稿にしなければいけません。
文字起こしは自分で行えば時間と手間がかかり、外注すれば日数とお金がかかってしまいます…。
そこで、今回は、文字起こしにフラストレーションを抱えているライター・編集者のために、「音声認識」機能を使った文字起こしを紹介します。
音声認識を使えば文字起こしが効率化できます!
音声認識とはなにか、そのメリットやおすすめツールを紹介します。
音声認識とは
音声認識とは、人が発した言葉(音声)をコンピュータが認識しテキスト化する技術のことを言います。
近年、SiriやAlexaといった音声認識サービスや、AmazonやGoogle・LINEなどが手がけているスマートスピーカーなど、音声認識技術の利用が拡大しているのはご存じでしょう。
また、ビジネスシーンにおいても、Zoomなど会議ツールと連携してリアルタイム字幕を表示するなど活用が進んでいます。
この音声認識という新たなテクノロジーにより、多大な労力が必要な音声のテキスト化(文字起こし)を半自動化でき、業務効率化や生産性の向上、さらには担当者のストレス軽減といったメリットが期待できます。
音声認識ツールの選び方
音声認識ツールに限らず、なんらかのシステムを導入する際には、導入効果を最大化させたいものです。
ここでは、音声認識ツールを選ぶうえで、押さえておきたい4つのチェックポイントを紹介します。
対応可能なOSは何か
音声認識ツール選びの大前提として、普段使うパソコンやスマホでそのツールが使えるかの確認が必要です。
特に音声認識ツールはWindowsのみ対応のものが多いです。機能や制度をチェックする前に、必ず対応OSを確認しましょう。
音声認識の精度は十分か
ツールによって精度は異なります。精度が低ければ修正に手間がかかり、逆に手間もコストもかさんでしまいます。そのため、音声認識ツールを選定する際には、音声認識の精度の高さにもこだわりましょう。
しかし、ここで気をつけたいのが、初期の精度だけにこだわらないことです。音声認識ツールには導入した後に、AIが言葉を学習し認識精度が上がっていくものが多くあります。ユーザーがチュー二ングできる辞書機能が搭載されたものであれば、精度向上に役立てられます。
必要な機能が備わっているか
機能が充実しているかも重要な選定ポイントです。音声認識ツールには、音声をテキスト化する基本機能以外にもさまざまな便利機能が搭載されているものがあります。
たとえば、リアルタイムで字幕表示が可能な機能があれば、会議ツールと連携し聴覚障害がある人ともリアルタイムでチャット会議ができます。
また、複数言語を瞬時に翻訳できる機能があれば、多言語会議も可能です。
必要な機能は利用目的や用途によって異なります。 「機能が多いもの」ではなく、自社にとって必要な機能が備わっている最適なツールを選びましょう。
無料か有料か
音声認識ツールは、無料で利用できるものから10万円以上するものまでさまざまです。
一般的に有料ツールは精度が高く、機能も豊富で使いやすい傾向にあります。しかしながら、ちょっとした音声を単純にテキスト化したいというだけであれば、無料または低価格のツールで十分という場合もあります。
機能は多ければ多いほど良いというものではありません。自社のニーズと予算に見合った無駄・無理のないツール選定をおすすめします。
【無料】気軽に使える音声認識ツール6選
ここからは、無料で気軽に使えるおすすめの音声認識ツールを6つ紹介します。
自社でのツール選定にお役立てください。
Speechy Lite
「Speechy Lite」は、手軽にリアルタイム文字起こしができるアプリです。直感的に操作できる画面で誰でも簡単に利用できます。
機能は多くありませんが、認識精度の高さと翻訳機能に定評があります。
対応OS | iOSのみ |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・音声ファイルによる文字起こし ・多言語対応(88言語) ・翻訳機能(テキスト翻訳と音声翻訳) ・文言編集機能 ・バックグラウンド音声認識機能 ・文字数カウントと単語数カウント機能 |
Texter
「Texter(テキスター)」は、音声以外に画像や動画などのメディアファイルからも文字起こしができるiOS専用アプリです。スマホの他に、iPadやApple Watchとの連携ができるため、複数デバイス間でのスムーズな共有も可能です。
無料プランは短時間のみの利用に限られているため、無料プランで試してから有料プランへ変更するのもいいでしょう。
対応OS | iOSのみ |
機能 | ・リアルタイム翻訳機能 ・音声文字起こし ・画像/動画文字起こし ・話者認識機能 ・リスト管理 ・SNS共有 |
Notta
「Notta(ノッタ)」は、英語など104言語に対応する文字起こしアシスタントツールです。無料プランでは、無料録音と3分リアルタイム文字起こし、5分音声・動画ファイル文字起こし機能に限定されています。有料プランでは機能が充実していて、Googleカレンダーと連携させて、Web会議の議事録を発言者毎に区別することもできます。
対応OS | iOS Android Windows macOS Linux |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・音声・動画ファイル文字起こし 【有料プラン】 |
Edivoice
「Edivoice」は、Googleの音声認識エンジンを利用したAndroid専用の音声入力アプリです。句読点や改行も音声入力でき、文章作成をサポートできる点が特徴。文章を素早く作りたい、という人におすすめです。
広告を消したい時には課金が必要ですが、その他の全ての機能は無料で使えます。
対応OS | Androidのみ |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・アプリ内辞書機能 ・マッシュルーム対応 ※マッシュルーム=Androidの日本語入力システム「Simeji」の入力機能を強化するための拡張機能 |
Speechnotes
「Speechnotes(スピーチノート)」は、Googleの音声認識エンジンを利用したAndroid専用の文字起こしツールです。アプリもWebサービスもあるためスマホとパソコンどちらでも使えます。音声入力による文字起こしの精度の高さに定評があります。
対応OS | Androidのみ |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・Bluetooth対応 ・音声ファイル文字起こし(WMA・MP3) ・ファイルダウンロード |
CLOVA Note
「CLOVA Note(クローバ・ノート)」は、AI技術を活用したLINEの無料文字起こしツールです。最大の特徴は、録音時の複数話者の区別を行う話者分離機能。変換したテキストはファイルとしてもダウンロードでき、他のアプリやソフトでの編集や共有も可能です。
全てのサービスを無料で利用できます。
対応OS | iOS Android |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・話者分離機能 ・音声記録メモ ・ブックマーク機能 ・音声検索機能 ・ファイルダウンロード機能 |
【有料】文字起こしツール5選
ここからは、おすすめの有料の文字起こしツールを5つ紹介します。無料版との大きな違いは、サポート体制や機能の充実です。無料版では物足りない、不安という方はこちらの有料ツールを参考にしてください。
Amivoice® MinutesWriter
「Amivoice® MinutesWriter(アミボイス ミニッツライター」)は、独自開発のAI音声認識エンジンAmiVoiceを使った高精度な文字起こしツールです。
業務で利用する専門用語を登録できる単語登録機能や編集ソフトによるテキスト編集機能を備えており、議事録作成から動画字幕作成に至るまで幅広く利用できます。また、複数のパソコンにインストールできるため、音声認識中のデータを複数人で編集することもできます。
導入から運用まで手厚いサポートも受けられます。
対応OS | Windowsのみ |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・音声ファイル文字起こし(WAV・MP3・MP4など) ・AI話者識別機能 ・単語登録機能 ・テキスト編集機能 ・Web会議ツールと連携 |
料金 | 要問合せ |
COTOHA Meeting Assist
「COTOHA Meeting Assist」は、NTTコミュニケーションズ株式会社が提供している議事録作成ツールです。テキスト化した音声やそれを翻訳したテキストを即座にミーティング画面に表示できるため、グローバルな会議にも活用できます。
また、クラウドサービスなので面倒なセットアップ作業は不要。セキュリティ対策も、専用のクラウドサーバーで厳重に管理されていて安心です。
対応OS | iOS Android Windows macOS |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・議事録作成機能 ・リアルタイム編集 ・自動翻訳機能 ・タスク作成機能 ・議事メモ管理画面機能 ・Web会議ツールと連携 |
料金 | 初期費用無料 月額55,000円(税込)~ |
スマート書記
「スマート書記」は、議事録の作成・共有・管理を簡単に行える文字起こしソフトです。パソコンやスマホ、タブレットなどさまざまなデバイスに対応しているうえに、アプリ版も提供されています。
ZoomやMicrosoft Teams・Webexなどのツールと連携しなくても簡単に音声録音できるため、リモートワークにも最適です。
また、ISMS認証を取得しているので、機密情報の取り扱いが多い企業でも安心して利用できます。
無料トライアルで性能をチェックすることも可能です。
対応OS | iOS Android Windows macOS |
機能 | ・文字起こし ・内部音/マイクでの録音機能 ・クラウド同期 ・タイムスタンプ機能 ・同時編集機能 ・フィルタ/フィラー除去機能 ・精度向上のための用語登録 ・情報連携機能 ・タイムスタンプ機能 ・音声ファイルアップロード |
料金 | 基本使用料 月額30,000円~(利用人数にあわせて見積り) |
VoiceRep スマート議事録 for テレワーク
「VoiceRep スマート議事録 for テレワーク」は、テレワークやWeb会議に役立つ議事録を作成できる文字起こしソフトです。句読点の自動挿入や不要な改行の消去など文章校正機能で、編集作業をサポートしてくれます。
Googleの音声認識エンジンを採用しているため、早口で話してもしっかりと認識し、 ほぼ正確にテキスト化してくれます。
対応OS | Windowsのみ |
機能 | ・リアルタイム文字起こし ・録音音声文字起こし(.wma/.mp3/.wavファイル対応) ・文章校正機能 ・テキスト読み上げ機能 ・ワープロ機能(ヘッダー/フッター/ページ番号、テキスト枠追加など) ・数値表記の自動変換 |
料金 | 6,800 円(税込) |
RIMO voice
「RIMO voice」は、日本語に特化した文字起こしアプリです。会議で録音した音声ファイルやイベントの動画ファイルをスピーディにテキスト化してくれます。
文字起こし(音声認識)があいまいな箇所はテキストの色が薄く表示されるなど工夫がなされており、編集がしやすく効率よく修正できます。
料金体系はスポットか定額制のどちらかを選択でき、利用頻度に合わせた利用が可能です。
対応OS | Windows macOS |
機能 | ・音声/動画ファイル文字起こし(M4A・MP3・WAV・MP4・MOV・AACなど) ・テキストと音声がシンクするスライダー機能 ・曖昧認識強調機能 ・データシェア機能 ・テキスト編集 ・音声検索 ・法人用管理機能 ・ファイル書き出し機能(Excel・CSV・字幕ファイル形式など) ・専門用語/社内用語変換登録(オプション) ・IPアドレス制限(オプション) |
料金 | 定額制:10万円/40時間 スポット利用(従量課金制):音声20円/30秒、動画30円/30秒 |
まとめ
音声認識ツールを利用すれば、インタビュー記事やセミナー・ウェビナーの記録、会議の議事録などの文字起こしが効率的に行えます。
文字起こしの業務効率化を図りたい!文字起こしにストレスを感じている…という担当者の方は、これを機に音声認識ツールの導入を検討されてはいかがでしょうか。
ツールを選ぶ際には、対応可能OSや必要な機能、精度は十分かなどポイントを確認してから導入し、スムーズな運用ができるようにしましょう。