Sambushi編集部です!
どんなに面白い内容でも、ほんのわずかな誤字・脱字や表現のバラつきで、説得力は落ち、魅力がなくなってしまうものです。
文章には、校正・校閲が必要不可欠です。
適切に文字校正され、事実に基づいて書かれた文章は、読みやすく説得力があります。
この記事では、校正・校閲でやるべきこととその方法を紹介します。また、ファクトチェックにおける信頼できる情報源や記者ハンドブックの使い方など盛りだくさんの内容になっているので、校正・校閲を行う際の指針としてぜひお役立てください。
校正・校閲・推敲の違い
校正・校閲・推敲(すいこう)は、いずれも文章をよりよいものにするために行うものですが、それぞれ作業の目的や作業者が異なります。
推敲は、ライター自身が原稿をブラッシュアップする作業であるのに対し、校正と校閲は、ライター以外の第三者が執筆が完了した原稿の誤りを正す作業を指します。
また、校正と校閲の違いは、チェックする対象にあります。
校正では、文章内の誤字・脱字や文法ミスなど文字に関する「形式面」をチェック・修正します。
校閲では、文章の内容や表現の適否・正誤など表現方法や文意の「内容面」をチェック・修正します。
つまり、作業の手順は、推敲→校閲→校正の順に行うこととなります。
推敲に関しては以下の記事で紹介しているので、今回は「校閲」と「校正」についてやり方などを詳しく紹介していきます。
校正・校閲でやるべきこと
間違いを含んだ文章は、読者に不信感・疑問を与えてしまいます。校正・校閲を行うことで、ミスのない読みやすい記事が作れます。
ここで、校正・校閲の具体的な作業内容を見ていきましょう。
誤字脱字や変換ミスのチェック
まずは、誤字脱字の確認。校正作業において、最も注力すべき作業のひとつです。
漢字の誤りや変換ミス、誤って使用している言葉や抜けている文字をチェックし修正します。
表記ゆれ・表記ルールのチェック
表記ゆれを起こしている語を見つけ、文章が表記ルールに沿うように修正します。
表記ゆれとは、一つの意味を成す語句が同じ文章や記事内で、異なって表記されることを言います。
たとえば……、
子ども⇔子供⇔こども
出来る⇔できる
Web⇔WEB
このように、漢字表記とひらがな表記の違い、英単語の大文字と小文字の違いなどさまざまなパターンがあります。
文章内で表記がゆれている場合に、どの語句に合わせるべきか修正基準をルール化した表記ルールに従って修正することで、文章の統一感が出ます。
また、文体(文章のスタイル)が適切かどうかも確認すべき項目です。
具体的には……、
- だ、である調、ですます調
- 口語表現や体言止め、呼びかけ(〜よ。〜ね。など)の文末表現
- 漢字や熟語、カタカナや平仮名の使用頻度
- 記号の使用 など
こういった文体や単語の使い方といった項目をチェックすることで、文章の方向性を統一できます。
文章の細かな表現が与える印象はメディア全体への印象にも影響するため、メディアの方針やターゲットの好みを意識した文体にすることが大切です。
言葉の誤用チェック
自分では正しいと思っていても、間違って覚えている言葉の使い方は多いものです。明らかな敬語の使い方のミスや、日本語の意味を取り違えて使用している場合は、校正の段階で見つけて修正します。
特に、ことわざや慣用句、熟語を含む記事には注意が必要です。
チェックする際には必ず辞書を用いて確認しましょう。
記事の内容に矛盾がないかを確認
文章の流れや内容に矛盾がないか、整合性のチェックをします。
たとえば、見出しと本文中で主張が異なったり、前の章と後の章で方向性がずれていたりする場合は修正が必要です。
このような内容の矛盾があるとユーザーに不信感を与えてしまうため、注意が必要なチェックポイントです。
ファクトチェック
ファクトチェックとは、事実関係の調査のことで、記事内容の正確性を確保するために必要な作業です。
本文中の固有名詞や数値データなど、掲載している情報に間違いがあっては、ユーザーにとって不利益なうえに、記事の信頼性が落ちてしまいます。
記事内で少しでも気になる箇所があれば深掘りし、「虚」か「実」かを判定していきます。
誤字脱字・変換ミス・表記ゆれを見つけるポイント
校正において最も重要な作業である誤字脱字や変換ミス、表記ゆれを見逃さないコツを紹介します。
ダブルチェック
文章には誤りが頻繁に起きるため、ダブルチェックはもちろん、トリプルチェックが欠かせないとまで言われています。
本来であれば第三者の目でダブルチェックを行うのが理想ですが、人員やコストなどの関係で難しい場合は、時間をおいて再度チェックをすることをおすすめします。
文章からいったん離れてチェックすることで思い込みが消え、間違いを見つけやすくなります。
印刷して確認する
パソコンの画面上でチェックするだけでなく、紙に印刷してチェックするとミス発見の精度が高まります。
紙であれば確認済みの文字をマークして消し込んだりして簡単にすべての文字をもれなくチェックできるため、より間違いに気づきやすくなります。
ツールを活用する
Wordや「JustRight!」(ジャストシステム社)など校正支援ツールを活用する方法もあります。誤字・脱字や表記ゆれなどをスピーディーにチェックできるため、校正作業の負担を軽減してくれます。
ファクトチェックのやり方
記事の信用性を確保するために欠かせないファクトチェック。ファクトチェックは客観的に行われ、公平性・透明性を重視して行うことが重要です。
ファクトチェックの項目
ファクトチェックでは、記事内の固有名詞や数字を含むデータの正誤確認、文章内容が正しいかどうかの他、法令違反の表現がないかもチェックします。
- 固有名詞(人名、企業名、団体名など)
- カレンダー(年号、日付、曜日など)
- 計算できる数字(税込みや税抜き金額、割引率など)
- 連絡先(住所、電話番号など)
- URLやQRコード
- 売上や数量データ など
また引用がある場合は、「出典元の記載を行い、文章を改編せずにそのまま載せる」などルールに則しているかといった点も確認が必要です。
正しい引用方法をとっていなければただのコピペ。当然のことながら、コピペは著作権の侵害に当たるので、絶対に見逃してはいけません。
これらの項目を、信頼できる情報源(※4-2)を利用して、精査する必要があります。これは雑誌や書籍、Webメディアに限らず行わなければなりません。
ファクトチェックで使う信頼できる情報源
公的機関や企業・団体の公式サイト、大手出版社の辞書や定評のある学会、雑誌など、公的権威がある発信元の情報は信頼できる情報源と言えます。どんなに詳しくても、また実際に正しい情報だとしても、無名の個人が運営しているようなサイトは資料ソースとしては不適当ですし、発信元が明確でないものは論外です。
ただし、個人サイトでも、プロフィールを公開している大学教授が発信しているサイトなどは信頼性が高いとされています。
記者ハンドブックの使い方
新聞記者など紙媒体のライターにとってはバイブルとも言われ、誰もが活用している「記者ハンドブック」ですが、Webライターの中では、あまり知られてないかもしれません。
実は、「記者ハンドブック」はWebライターにとっても強い味方になります。
ここでその使い方を紹介します。
記者ハンドブックとは
「記者ハンドブック」は、長年にわたって膨大な数の記事を世に出し続けてきた共同通信社が、「わかりやすくやさしい文章が書けるように」と編集した辞書です。
そのため、文章を書くにあたって、漢字にするか、平仮名にするか。漢字の場合はどの漢字が適当かなど、参考になるさまざまな情報が掲載されています。
記者ハンドブック活用法
記者ハンドブックにはさまざまな情報が掲載されています。いくつか特徴的なものを紹介します。
【用字用語集で確認できること】
- 適切な漢字
- 平仮名と漢字のどちらが適切か
- 適切な送り仮名の付け方
- 同訓異字や同音異義語の使い分け
- 間違えやすい慣用句
【年齢早見表で確認できること】
- 年齢確認(○○年生まれの人は今何歳か)
- 西暦から年号への換算
- 年号から干支への換算
留意したい点は、これはすべて共同通信の自社基準である点です。Webライティングでは、場合によってはより的確な表現方法があるケースもあるでしょう。しかし、記者ハンドブックのルールに則ってライティングすると、表記の揺れがなくなり読みやすい文章になります。
そのため、語句の統一や表記ルールの設定などに指針となるものが無い場合は、文章の書き方の基本を押さえるものとして、「記者ハンドブック」を活用することをおすすめします。
まとめ
「言葉の扱い方」は、ライターや編集者など文章を書くことを仕事にする人にとって、立ちはだかる大きな問題です。
近年はちょっとした不適切な表現でも、インターネット上で指摘され悪い意味で炎上してしまう時代。校正・校閲の価値は今まで以上に重要視されています。
ここで紹介した校正・校閲の基本を押さえ、適切な文字校正とファクトチェックを行い、文章の質、さらにはコンテンツ全体の質を高めましょう。